AGSコラム

ネリネの基礎知識

キラキラと輝く花びらが美しいネリネ。その光輝く花姿から「ダイヤモンド・リリー」の別名を持ちます。花期(10~11月)になると球根から葉とともに花芽が上がってきます。天に向かってまっすぐに伸びて咲くキラキラとした花はとても神秘的です。花色は、赤やピンク、紫、白などで、筋が入るものもあります。切り花にすると大変に花持ちが良く、2週間ほど楽しめます。輝く花と「ダイヤモンド・リリー」の別名からウェディング装花などでも人気の注目花です。
夏の休眠期の過湿に弱いため雨の当たらない水はけのよい軒下やベランダなどが適してます。小さな鉢で育てられるので狭いスペースでも栽培を楽しむことができます。過湿に弱い反面、乾燥にはとても強いので多少放置気味の方がよく育ちます。ベランダなどのちょっとしたスペースで簡単に珍しい花を楽しみたいという方にはピッタリの花です。

ネリネの歴史

ネリネの渡来と育種

スネリネという名前は、ギリシャ神話の海の女神ネレイデスにちなみます。南アフリカ原産ですが、17世紀ごろからイギリスで改良が始まり、20世紀初頭にはロスチャイルド銀行のオーナー、ライオネル・ロスチャイルドらの手によって美しい品種が生み出されました。現在でもアメリカやニュージーランドで盛んに品種改良がなされています。
日本には大正末期に渡来しましたが、縁起が悪いと思われていたヒガンバナに似ていることからあまり普及せずにいました。広瀬巨海氏らが精力的に育種に取り組みましたが、戦争中にほとんどの品種が失われてしまったそうです。近年では、花菖蒲の育種で有名な故・平尾秀一氏やアマリリス等の育種で有名な小森谷慧氏、若手育種家・横山直樹氏などの熱心な育種家によって新しい品種が生まれています。

ネリネの系統

ネリネには、冬に成長するサルニエンシスなど、夏に成長するボーデニーなど、常緑のウンデュラータなどの系統があります。本邦で園芸や切り花で流通するネリネはサルニエンシスをもとに改良されたもので、「ダイヤモンド・リリー」と呼ばれるネリネもこの系統です。

ネリネとリコリスの違い

ネリネは特徴も姿も同じヒガンバナ科のリコリスと似ていますが、リコリスはヒガンバナ科リコリス属で、ネリネはヒガンバナ科ネリネ属です。ネリネは南アフリカ原産ですが、リコリスはアジア東部が原産です。見た目の違いでは、リコリスの方がネリネよりも雄しべが反り返り長く突き出します。また、ネリネは葉と花芽が出てくるのはほぼ同時(10~11月)ですが、リコリスは8月末~9月に花が咲き、その後に葉がでてきます。早春に葉が出る品種もあります。リコリスには耐寒性があり地植えもできますが、ネリネの越冬温度は0℃で強い霜に当たったら傷むので軒下や鉢植えで育てます。半日陰でも育ち休眠期に雨が当たっても大丈夫なのがリコリスで、生育期には日当りを好み休眠期には雨に当てない場所で管理するのがネリネです。最後に、AGSでの一番大きな違いは…ネリネの生産者は神奈川県横浜市の花光園・中村剛氏、リコリスは埼玉県小川町の岡本自然農園・岡本守夫氏ということです。

ネリネ
(ダイヤモンド・リリー/サルニエンシス系)
リコリス
分類
ヒガンバナ科ネリネ属 ヒガンバナ科リコリス属
原産地
南アフリカ 東アジア
見た目
雌しべと雄しべの長さがあまり変わらない 雌しべが雄しべより長く突き出し反り返る
開花期
10月~11月 8月~9月
葉が出るタイミング
10〜11月、花芽が上がるとほぼ同時に葉が出る 8月末〜9月に開花した後、もしくは早春に葉が出る
耐寒性
0度以上 耐寒性がある
地植え
強い霜が当たらない水はけのよい軒下など 霜にも強い
分類
ヒガンバナ科ネリネ属 ヒガンバナ科リコリス属
日当り
好む 半日陰でも大丈夫
休眠期の水やり
厳禁 雨に当たっても大丈夫
2018/03/29