
English Garden
イングリッシュワイン
この夏、ヨーロッパでは各地で記録的な猛暑となりました。 異常気象という言葉は30年に1回あるかないかのことを言うそうですが、 この夏の平均気温の高さは50年ぶりとのことなので、これは立派な異常気象だったわけです。 アルプスの氷河が溶けて、それが巡り巡って日本あたりでは冷夏になったなんていう話も聞きました。 うそのようなホントのようなよくわからない話ですが、とにかく私たちの地球がおかしくなっていないことを祈ります。
イングランドでもやはり異常な暑さだったのですが、僕はちょうどいちばん暑いころには スコットランドの北の果てにあるハーブ農園に滞在していたので、 それほど暑い思いをしないで済んでしまいました。日本でも最近はハーブ薬の効能について の話を聞くようになりましたが、こちらではその歴史も長く、ハーブの栽培も盛んです。 もちろん料理にもよく使います。うちでも庭や窓辺の鉢にバジル、ローズマリー、 タイム、オレガノ、セージ、ミントなど基本的なものを植えて盛んに使っています。 ほとんど手間もかからずどんどん増えるので、今のところ一株ずつで十分足りてしまいます。 ハーブ農園に行くまではそんな料理やお茶に使うようなハーブをイメージしていたのですが、 実際は薬用をはじめほかにもさまざまな用途があり、そのハーブ農園でも細かい品種まで数えると 400~500種類のハーブを栽培しているとのことで驚いてしまいました。
紅葉のことをイングランドでは“Autumn Leaves” といいます。イングランド南部では、 10月初めから12月初めまでの長い間きれいなオータムリーブスを楽しめます。
10月31日はハロウィーンのお祭り。かぼちゃをくり抜いて“Jack-o'-lantern”を作ります。
僕がおじゃましたときはArnica(アルニカ)という花の収穫が終わったところで、 これはハーブ薬の原料として製薬会社に納めたそうです。また苗の個人向けの通信販売もしていて、 世界中に発送しているとのことです(日本にそういった植物の苗や種などを輸入しても いいものなのかはわかりません。植物検疫があってちょっと面倒なのかもしれません)。 そこのオーナーは、たとえばチベットの山奥などに出かけては新しい種や苗を持ち帰る、 そんなハーブハンティングとでもいうような旅に毎年のように出かけています。 近いうちに日本へも行こうと考えているようで、日本の山菜や薬草についての質問を どんどんしてくるのですが、すでにまったく僕の知る範囲を超えていて、 なんの役にも立てませんでした。どこか山奥の秘湯のようなところで、山菜や野草、 薬草などに詳しいおやじがやっているような宿でも紹介してあげたいと思っているのですが、 どなたかそんなところ知りませんか? 僕自身もすっかりハーブの奥深さに感化されてしまって、 彼が日本に行くときにはぜひとも通訳ガイドとしてくっついて行きたいと思っています。
Sedlescombe Organic Vineyard”という名のワイナリー。 ここでは無農薬有機栽培が行なわれています。イギリスには“Soil Association”という団体があり、“Organic~”をうたう 製品に対して栽培から製造まで厳しく管理されています。 クローバーなどのカバープラントをうまく使っていて、安全かつ美しいです。
イングランドで、この暑かった夏を大いに喜んだ人たちに会いました。 あまり知られていませんが、イングランドでも少量ながらワインを生産しています。 もちろんぶどうから生産しているということです。紛らわしいことに“English Wine”と “British Wine”という表示のワインがあり、Englishのほうは100%イギリス産のぶどうのみで 醸造されるのに対して、Britishは輸入した濃縮ぶどうジュースにいろいろ添加して作られる廉価ワイン。 English Wineのほうがちろん味は格段によいのですが、かなり値段は高く、 もフランスやイタリアなどの同じ価格帯のワインと比べるとやはり英仏海峡を渡ってくる一本にはかなわない、 という板挟み状態で、マーケティング的には難しいところにあります。 今年のぶどうの出来具合はかなり良いらしいとの評判を聞いて、近所にあるワイナリーに出かけてきました。 「これまでで最高のビンテージになるのでは」と語るワイナリーのオーナー。 「控えめに言っても1979年以来の良いビンテージになることは確実だろう」とオーナー夫人。 ぶどう栽培の北限になるイングランドでは、異例の暑さだった夏の恵みがほかの 暖かい産地よりも顕著だったそうです。例年よりも収穫時期を2週間ほど早めるとのことで、 もう畑は収穫間近。ぶどうをつまみ食いしながらしばらく散歩しましたが、 思っていた以上に十分な糖度に達していて、食べてもとてもおいしく、 品種ごとに一房ずつ失敬しておみやげとしてしまいました。とても機嫌の良いワイナリーの 人たちからたっぷりとテイスティングを振る舞われ、すっかりいい気分。 このまま地球の温暖化が続くとやがてイングランドもフランスと並ぶワインの 名産地になってしまうのでは…なんて、うれしいような、困った話で盛り上がったのでした。
Sedlescombe Organic Vineyard”で2001年に植えられた“Regent”という品種のぶどう。 病気などに強い新しい品種で、フルボディーのフルーティーな赤ワインになります。 右は“Lamberhurst Vineyard”というワイナリーで撮影した白ワイン用のぶどう。
いつかどこかのセラーでイギリスワインの2003年ビンテージを見つけたら、 ぜひ試してみる価値ありだと思います。先日テイスティングしたなかでは白が 圧倒的に優秀だと僕は思いました。また、いくつかのワイナリーの試みでシャンパンと 同じ製法で作られるスパークリングワインにもかなりいいものがある、 とのことです。そして、くれぐれも“British~”ではなく“English Wine”を選んでくださいね。
