
English Garden
スモールシェイドガーデン
皆が心待ちにしていたクロッカスがようやく咲きました。
ある日知人から『あなたの住んでいる家が売りに出ているわよ。』と教えられ、 不動産屋に聞いてみるとどうやら本当のようで、間もなくオーナーより『家を売りに出したい』 と手紙が届きました。契約書の通り通知を受け取った日より2ヶ月の間に退居すことになり、 家探しを開始。イングランドで家を借りるときの契約は、更新が半年ごとで、 テナントから転出を申し出る場合は1ヶ月、オーナーの都合で退去が言い渡される場合は2ヶ月前までに文書でお互いに通知するというのが一般的です。
通知を受けとったのが12月始め、3年振りに正月を日本で過ごすことにしていたので、 なんとか出発までに次の物件を見つけて手付けをうってから日本へ発ちたい。 まだ4年に満たないイングランド暮しですが、実は今回すでに4度目の引っ越しなのでもう慣れたものです。 最初のうちはいろんなタイプの家に住んでみたいという想いもあり、 半年の契約ごとに気軽に引っ越しをくり返していました。モノもだいぶ増えてしまったし そろそろ落ち着きたいなと思っていたところだったのですが、約1年半でまたもや引っ越すことになってしまいました。
小さな街なので大きさや予算などの条件にあてはまる物件はそう多くはありません。 それでも2週間の間に6軒をまわって最後に見た物件に決定。 イングランドでは家を借りる際の大事な要素として家具付きかそうでないか、ということがあります。 家具付きには2つのタイプがあり、家具はもちろん食器や ふとんまで付いている full-furnished と冷蔵庫や洗濯機といった基本的な家電製品だけが付いている part-furnished があります。なるべく同じカテゴリーの物件にしないと引っ越すたびに 家財道具が足りなかったり、あまってしまったりということになります。
このあたりでも4月中旬までは霜の心配をしないといけません。
冬の真只中2月最初の週末に引っ越すことに決まりました。転居先は同じ通りのななめ向かい、 約50メートル先にあり1階には小さなギャラリーがある築230年の、 2階から4階屋根裏部屋までのスリーベッドルームハウスです。 イングランド南部田舎町の小さな商店街の中にあり、右隣はこの町でいちばん大きなアンティークセンター、 そして左隣は1850年創業のガーデンショップです。新居はジョージアン時代(1710~1800) の建物で、外観はビクトリアン時代(1830~1900)に改装してあります。 室内はさらに何度も改装してありセントラルヒーティング完備のモダンなものです。 ただし上の階にいくほどに床と壁がかなり傾いてきます。 ドアの枠などは明らかに歪んでいるのがわかるほど(きちんと長方形になっていない)で、 よくこれで扉が閉まるように調整してあるものだと感心しています。 ベッドなどはただ置いただけではぐらついてしまい、ツーバイフォー(厚さ約5cm) の端材などを使って高さを調整する必要があります。 しかし、この国ではこういう古い家の方がむしろ人気があり、 借りるにしても買うにしても古いから安いということはまったくありません。 傾いてしまった壁や床さえも古い家のキャラクターとして受け入れる寛容さがなければ、美しい街並を今日まで残すことはなかったでしょう。
そして渡英以来5軒目にしてはじめての庭つきの家です。 建物の北側に位置する10坪ほどの小さな裏庭です。 このように建物や壁に囲まれた小さな庭はコートヤードガーデンと呼ばれます。 陽当たりもあまり期待できないので、シェイドガーデン(shade garden=日陰の庭というような意味)とでもいいましょうか。 先日訪ねてきたイギリス人の友達はクールガーデン (cool garden=涼しい庭)なんていう言葉を使っていました。 イギリスでは街並の作りからしてこういう立地のガーデンは少なくないようで、 本屋さんに行けば、“Gardening for Small Garden”、“Successful Small Garden”なんていうタイトルの本も見つけることができます。
スモールシェイドガーデン 左:作業前(2月1日撮影)右:作業後(2月26日撮影)
このコートヤードガーデンですが、引っ越した当初はかなり悲惨な状況でした。 真冬ということもありますが、どうやら前のテナントはあまりガーデンを楽しむ人ではなかったようです。 はじめのうちは荷解きの合間に窓から見下ろすのがせいぜいでしたが、週末のフリーマーケットで中古 (アンティークと言いたいところですが、この国では100年経っていないと そう呼ぶには気が引けてしまって…。)のガーデンツールを手に入れると だんだんとやる気も出てきて、ここ数日は夕方いつもより少し早めに仕事を切り上げて、 暗くなるまでのほんの短い時間をガーデンで過ごすことにしています。夕暮れに追われながら、 枝を切ったり、土を掘ったり、コンポスト造りのための枠を組んだり…。 『さて、何を植えたらよいものか。』と想いをめぐらし、日ごとに陽が長くなるのをことさら嬉しく感じる今日この頃です。
マーケットで手に入れた”中古のガーデンツール”売っていたおじさん曰く、 1930年代まだイングランドに良い鉄とクラフトマンシップがあった時代のもの、だそうです。まだまだあと50年くらいは使えそうです。
グリーンマンがいました。もとはケルト発祥の樹木信仰から来ているもので、 教会の装飾などによく使われるモチーフだそうです。先日訪ねてきたウェールズ出身の友達が教えてくれました。
